「会社も順調に成長し、個人資産も少しずつ増えてきた。でも、このままで将来、相続の時に家族は困らないだろうか…?」
「事業承継も考えないといけないけど、相続税って一体どれくらいかかるんだろう…?」
日々、会社の成長とご家族の幸せのために奮闘されている社長の皆様。ご自身の資産形成が進むにつれて、ふと「相続」や「贈与」といった言葉が頭をよぎる瞬間があるのではないでしょうか。
「まだ先のことだから…」
「うちはそんなに資産家じゃないし…」
そう思って、対策を後回しにしていませんか?
しかし、中小企業の社長様にとって、相続・贈与対策は、単なる「お金持ちの悩み」ではありません。 大切な会社を次世代にスムーズに引き継ぎ、ご家族が安心して暮らしていけるようにするためには、避けては通れない、そして早めの準備が何よりも重要な課題なのです。
「相続税で会社が傾いた…」
「家族間で揉めてしまった…」
そんな悲しい事態を招かないためにも、今回は「総合資産戦略」の視点から、社長が押さえておくべき「相続・贈与対策の基本」と、“後悔しない”ための最初の一歩について、分かりやすく解説します。
この記事を読めば、「うちもそろそろ真剣に考えないと!」と、きっと危機感と同時に、前向きな行動へのきっかけを掴んでいただけるはずです。
なぜ社長に「相続・贈与対策」が特に重要なのか?~3つの理由~
一般の方以上に、中小企業の社長様にとって相続・贈与対策が重要となる理由があります。
- 理由1:会社の「株式」が大きな相続財産になるから
多くの中小企業の社長様は、ご自身が経営する会社の株式を保有しています。この自社株式は、業績が良いほど評価額が高くなり、相続財産の中でも大きな割合を占めることが少なくありません。そして、この株式の評価額が、相続税額を大きく左右するのです。 - 理由2:「事業承継」と密接に絡み合っているから
社長の相続は、単に個人の財産が引き継がれるだけでなく、会社の経営権の承継、つまり「事業承継」の問題と直結します。後継者が株式を相続できなければ、会社の経営が不安定になる可能性もあります。円滑な事業承継のためには、相続対策が不可欠です。 - 理由3:対策の有無で「納税額」と「家族の負担」が大きく変わるから
相続税は、基礎控除額を超える財産に対して課税されます。無対策の場合、予想以上の高額な相続税が発生し、納税資金の準備に苦労したり、最悪の場合、事業用の資産や自宅を手放さなければならなくなったりするケースもあります。また、遺産の分割方法を巡って、残されたご家族が争う「争続」に発展してしまうことも…。
これらの理由から、社長の皆様は、ご自身の資産状況だけでなく、会社の将来も見据えた上で、計画的に相続・贈与対策に取り組む必要があるのです。
相続・贈与対策の「キホンのキ」~これだけは押さえておこう!~
では、具体的にどのような対策があるのでしょうか? まずは基本的な考え方と代表的な対策を理解しておきましょう。
- 相続対策の3本柱:
- 遺産分割対策: 誰にどの財産を相続させるかを事前に決めておくこと。遺言書の作成が最も有効な手段です。これにより、残された家族間の無用な争いを防ぎます。
- 納税資金対策: 相続税を支払うための資金を準備しておくこと。生命保険の活用(死亡保険金は受取人固有の財産となり、非課税枠もある)や、不動産の売却などが考えられます。
- 節税対策: 相続財産そのものを減らしたり、評価額を引き下げたりすることで、相続税の負担を軽減すること。生前贈与の活用、不動産の活用(相続税評価額が時価より低くなる場合がある)、生命保険の非課税枠の活用などがあります。
- 生前贈与の活用ポイント:
- 暦年贈与: 年間110万円までの贈与であれば贈与税がかからない制度。コツコツと長期間にわたって行うことで、大きな節税効果が期待できます。
- 相続時精算課税制度: 原則として60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子または孫へ贈与する場合に選択できる制度。2,500万円までは特別控除として贈与税がかからず、超えた部分には一律20%の贈与税がかかります。ただし、贈与した財産は相続時に相続財産に加算して相続税を計算します。(※制度改正により、2024年1月1日以降は年間110万円の基礎控除が創設されました。)
- 各種贈与税の非課税特例: 教育資金の一括贈与、結婚・子育て資金の一括贈与など、特定の目的のための贈与には非課税枠が設けられています。
これらの対策は、単独で行うよりも、組み合わせて行うことで、より大きな効果を発揮します。
ただし、税制は非常に複雑で、頻繁に改正も行われます。自己判断は禁物です。
社長が相続・贈与対策で「失敗しない」ための重要注意点!
相続・贈与対策は、やり方によっては効果がなかったり、かえって問題を複雑にしてしまったりすることもあります。特に社長の皆様には、以下の点に注意していただきたいと思います。
- 注意点1:まずは「現状把握」から!財産と相続人の正確な把握が不可欠
「うちにはどれくらいの財産があって、誰が相続人になるのか?」これを正確に把握することが全てのスタートです。預貯金、不動産、有価証券(特に自社株!)、生命保険、借入金などをリストアップし、法定相続人を確認しましょう。 - 注意点2:「自社株の評価」を甘く見ない!
多くの中小企業社長にとって、最大の相続財産は自社株です。この評価額が予想以上に高く、相続税の負担が重くなるケースが後を絶ちません。定期的に自社株の評価額を把握し、対策を検討する必要があります。 - 注意点3:「遺言書」は社長の最後の“経営判断”!
「うちは家族仲が良いから大丈夫」と思っていても、いざ相続となると揉めてしまうことは少なくありません。社長の意思を明確に示し、スムーズな遺産分割と事業承継を実現するためには、法的に有効な遺言書の作成が極めて重要です。 - 注意点4:節税だけに囚われず、「家族の幸せ」を第一に考える!
節税効果が高い対策であっても、それが家族の誰かに過度な負担を強いたり、家族関係を悪化させたりするものであっては意味がありません。あくまでも「円満な相続」と「家族の幸せ」を最優先に考えるべきです。 - 注意点5:対策は「時間」がかかる!早めの着手が成功の鍵!
効果的な相続・贈与対策の多くは、実行してから効果が現れるまでに時間がかかります(例:暦年贈与は長期間行うことで効果大)。また、社長ご自身が元気で判断力があるうちに準備を進めることが重要です。
これらの注意点を踏まえ、専門家のアドバイスを受けながら、計画的に対策を進めていくことが成功への道筋です。
相続・贈与も「総合資産戦略」の重要な一部です!
これまでお話ししてきたように、相続・贈与対策は、社長個人の資産形成、会社の事業承継、そしてご家族の将来設計と深く結びついています。
- 役員報酬の最適化で得た手取りをどう活用するか?
- iDeCoやNISAで築いた資産はどう引き継ぐか?
- 役員退職金の準備は、相続税の納税資金対策にもなるか?
- 不動産投資は、相続税評価額の引き下げに繋がるか?
このように、これまでブログでお伝えしてきた様々な資産戦略は、全て相続・贈与という「出口戦略」と繋がっているのです。
だからこそ、私たち総合資産戦略コンサルタントは、単に相続税の計算をするだけでなく、社長の想い、会社の将来、そしてご家族の幸せをトータルで考え、最適な相続・贈与プランを一緒に創り上げていきます。
まとめ:後悔しないために、今こそ「相続・贈与」と向き合おう!
相続・贈与対策は、「いつかやらなければ…」と思いつつも、つい後回しにしてしまいがちなテーマです。しかし、準備を怠ったことによる代償は、想像以上に大きいものになりかねません。
「うちの家族に限って、揉めることなんてないだろう」
「相続税なんて、うちには関係ないと思っていた…」
そんな「まさか」を現実にしないために、まずは現状を把握し、専門家に相談することから始めてみませんか?
それは、社長ご自身のためだけでなく、大切なご家族と、手塩にかけて育ててきた会社を守るための、最も重要な一歩となるはずです。
社長の皆様が、安心して未来を迎えられるよう、私たちがお金の面から全力でサポートさせていただきます。