「いつかは誰かに会社を譲りたいけど、具体的に何から始めればいいのか…」
「子供に継がせたい気持ちはあるけど、本当にそれでいいのだろうか…」
「事業承継って、結局お金の問題なんでしょ?相続税とか、株価とか…」
長年、手塩にかけて育ててこられた会社。社長の皆様にとって、それは単なる「仕事の場」ではなく、人生そのもの、あるいは我が子のような存在かもしれません。だからこそ、その大切な会社を「誰に」「どのように」託していくのか、という「事業承継」の問題は、避けては通れない、そして非常に重いテーマですよね。
「まだ元気だから、引退なんて考えられない」
「事業承継の話をすると、なんだか寂しくなる…」
そう思って、つい目を背けてしまっていませんか?
しかし、事業承継は、社長が元気なうちに、時間をかけて計画的に準備を進めることが、成功の絶対条件です。準備を怠ったために、
- 後継者が見つからず、廃業せざるを得なくなった…
- 相続トラブルで、会社が経営危機に陥った…
- 無理な承継で、後継者が苦労している…
といった事態に陥ってしまうケースは、残念ながら後を絶ちません。
そこで今回は、「総合資産戦略」の視点から、社長が後悔しないために絶対に知っておくべき「事業承継の準備と進め方の鉄則」について、経営者の皆様が「これは、うちの会社の話だ!」と真剣に考えるきっかけとなるよう、分かりやすく解説します。
この記事を読めば、事業承継に対する漠然とした不安が整理され、今すぐ取り組むべき具体的なステップが見えてくるはずです。
なぜ社長にとって「早期の事業承継準備」が絶対に必要なのか?
「まだ早い」は禁物です。事業承継の準備は、早ければ早いほど良いと言われます。その理由は、
- 後継者の育成には時間がかかるから:
会社を任せられるだけの知識、経験、リーダーシップを身につけるには、一朝一夕にはいきません。じっくりと時間をかけて育成する必要があります。 - 株式の承継(相続・贈与)には様々な対策が必要だから:
自社株の評価額によっては、多額の相続税や贈与税が発生する可能性があります。株価対策や納税資金の準備、税制優遇措置の活用など、効果的な対策には時間を要します。これは、まさに「社長個人の相続・贈与対策」と表裏一体です。 - 関係者(従業員、取引先、金融機関など)の理解と協力を得る必要があるから:
スムーズな事業承継のためには、社内外の関係者からの信頼と協力が不可欠です。時間をかけてコミュニケーションを取り、理解を深めていく必要があります。 - 不測の事態に備えるため:
社長が突然病気になったり、事故に遭ったりする可能性もゼロではありません。万が一の事態が発生してから慌てても、手遅れになることがあります。
事業承継は、社長の「最後の仕事」であり、会社の未来を左右する最も重要な経営判断の一つです。だからこそ、余裕を持った計画的な準備が求められるのです。
事業承継「成功への羅針盤」~5つのステップで進めよう!~
では、具体的にどのように事業承継の準備を進めていけば良いのでしょうか? ここでは、基本的な5つのステップをご紹介します。
- ステップ1:現状把握と課題の明確化「会社の健康診断」から始めよう!
- 会社の現状分析:財務状況、強み・弱み、経営課題、将来性などを客観的に評価します。
- 社長自身の現状分析:健康状態、引退後のライフプラン、事業承継に対する想いなどを整理します。
- 自社株の評価:相続・贈与に備え、現在の自社株の評価額を把握します。これが高額な場合、対策が必要になります。
- 関係者の意向確認(初期段階):潜在的な後継者候補や、主要な従業員、家族などの意向を、まずは慎重に探ります。
- ステップ2:承継方法の検討「誰に、どのように託すか?」
事業承継の方法には、主に以下の3つがあります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社に最適な方法を選択します。- 親族内承継:子供や兄弟姉妹など、親族に事業を引き継ぐ方法。
- メリット:経営理念や社風を引き継ぎやすい、従業員や取引先の理解を得やすい場合がある。
- デメリット:親族に適任者がいない場合がある、相続問題が発生しやすい。
- 従業員等への承継(MBO/EBO):役員や従業員に事業を引き継ぐ方法。
- メリット:会社の内部事情に精通しているため、スムーズな移行が期待できる。従業員のモチベーション向上にも繋がる。
- デメリット:後継者候補に株式取得のための資金力がない場合がある。個人保証の引き継ぎが課題となることも。
- 第三者への承継(M&A):社外の個人や企業に事業を売却・譲渡する方法。
- メリット:後継者不在でも事業を存続できる。社長は売却益を得てハッピーリタイアできる可能性がある。会社の成長・発展に繋がる場合もある。
- デメリット:希望する条件で買い手が見つからない場合がある。企業文化の融合が難しい場合がある。従業員の処遇が不安視されることも。
- 親族内承継:子供や兄弟姉妹など、親族に事業を引き継ぐ方法。
- ステップ3:事業承継計画の策定「具体的なロードマップを描く」
- 後継者の選定と育成計画:誰を後継者にするかを正式に決定し、具体的な育成プラン(社内外での研修、権限移譲など)を策定します。
- 株式・財産の承継計画:いつ、どのように株式やその他の財産を後継者に移転するかを計画します。贈与税・相続税対策、事業承継税制(後述)の活用などを検討します。
- 経営体制の移行計画:社長退任の時期、後継者への権限移譲のスケジュール、新経営体制の構築などを計画します。
- 関係者への開示・説明計画:従業員、取引先、金融機関などに、いつ、どのように事業承継について説明するかを計画します。
- ステップ4:事業承継計画の実行「着実に、そして柔軟に」
策定した計画に基づき、一つひとつ着実に実行していきます。- 後継者の育成
- 株式の移転(生前贈与、遺言書の作成など)
- 経営権の段階的な移譲
- 関係者への説明と協力要請
計画通りに進まないこともあります。状況の変化に合わせて、柔軟に計画を見直すことも重要です。
- ステップ5:承継後のフォローアップ「見守り、支える」
事業承継が完了した後も、しばらくは後継者を見守り、必要に応じてアドバイスやサポートを行います。ただし、過度な干渉は禁物です。後継者が自立して経営できるように、徐々に距離を置くことも大切です。
これらのステップは、数年、場合によっては10年以上の長期的な取り組みになることもあります。
社長が知っておくべき「事業承継税制」という強力な味方!
事業承継における大きなハードルの一つが、自社株の承継に伴う贈与税・相続税の負担です。この負担を軽減するために、国が設けている非常に強力な制度が「事業承継税制(特例措置)」です。
- 事業承継税制とは?
一定の要件を満たすことで、後継者が非上場会社の株式等を先代経営者から贈与または相続により取得した場合に、その贈与税・相続税の納税が100%猶予され、さらに一定の要件を満たせば最終的に免除されるという制度です。(※適用には多くの要件があり、計画的な準備と専門家のアドバイスが不可欠です。)
この制度をうまく活用できれば、税負担を気にすることなく、スムーズに自社株を後継者に引き継ぐことが可能になります。ただし、制度の内容は複雑で、適用期間も限定されています(特例措置の特例承継計画の提出期限は2026年3月31日まで)。関心のある社長は、今すぐにでも専門家に相談し、検討を始めるべきです。
事業承継は「社長個人の相続対策」と二人三脚!
冒頭でも触れましたが、事業承継は、会社の問題であると同時に、社長個人の相続問題でもあります。
- 自社株以外の個人資産(不動産、預貯金など)はどうするのか?
- 後継者以外の相続人(配偶者や他の子供など)への配慮はどうするのか?(遺留分対策)
- 社長自身の老後の生活資金は確保できているか?
これらをトータルで考え、「事業承継計画」と「社長個人の相続・贈与計画」を一体として策定することが、全ての関係者にとって円満な結果をもたらす鍵となります。
まさに、私たち「総合資産戦略コンサルタント」が最も得意とするところです。
まとめ:事業承継は社長の「愛」と「覚悟」。専門家と共に未来を創ろう!
事業承継は、社長が会社と従業員、そして家族に対して持つ「愛」と、未来を託す「覚悟」の表れです。そして、その想いを形にするためには、専門的な知識と、長期的な視点に立った計画的な準備が不可欠です。
「うちの会社は、どの承継方法が合っているんだろう?」
「自社株の評価額が心配だ…」
「事業承継税制について、もっと詳しく知りたい!」
そう思われた社長様、事業承継は決して一人で悩む問題ではありません。
私たち総合資産戦略コンサルタントは、
- 事業承継の方向性決定のサポート
- 自社株評価と株価対策のご提案
- 事業承継計画の策定支援
- 事業承継税制の活用サポート
- 社長個人の相続・贈与対策との連携
- M&Aを検討する場合の専門家紹介
など、事業承継に関するあらゆる課題に対して、社長に寄り添い、共に最適な解決策を見つけ出す伴走支援を行います。
大切な会社を、より良い形で次世代に繋ぐために。
社長の「最後の、そして最大の仕事」を、私たちがお手伝いさせていただきます。
まずは、その第一歩として、お気軽にご相談ください。